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2007.12.28 トップライト強化ガラスの不意破損
 5年程前に私達が計画及び設計に携った公共施設のトップライト複層強化ガラス内側一枚が熱割れを起し、爆裂破損後数時間経って落下する事故が起りました。幸い大きな事故には結びつく事はありませんでした。
 私達は、玄関庇やトップライトに強化ガラス+飛散防止フィルムを使って計画する事が比較的多い事務所だと思います。約30年間この仕事をしているのですが今回のような強化ガラス熱割れ報告を受けたのは初めてです。
 すぐに現地を確認し、何故強化ガラスが割れたのか?そして何故割れたガラスが落下したのか?を状況調査させて頂きました。
 硝子製造メーカー曰く、出荷前にヒートソーク処理(300~400℃での再加熱)をしているので出荷後の熱割れの可能性を1/10000迄抑えていると言う事です。しかし熱割れの可能性をゼロには出来ないとの回答です。今回はその1/10000の確率の不純物混入での熱割れが原因と硝子メーカーから報告がありました。
 それにしても、なぜ飛散防止フィルム施工がありアルミサッシにシーリングにて固定されていた破損ガラスが、幾らかの時間を経たにしても外れて落下したのか、今後の対策やこれからの硝子使用の際に大きく関わる問題だと真剣に受け止めています。
 破損するかもしれない硝子をトップライト等、普段人の居るような場所の上に計画し設計する事事態が、「悪」では無いかと言う事を言われています。
 私達は、今回の事が本当に確率の低い偶然が重なって起きたのか、アルミサッシに固定されている強化ガラス+飛散防止フィルムの使用事態が安全ではないのか、引続き検証ができるようガラス面のサッシ枠にセーフティーネットを設置させて頂き、さらなる安全を確保した上で、今後の状況を見極めさせて下さいと御願いしている最中です。一方では、強化硝子を全部パネルに取り替えてしまえと言う意見もあります。
 硝子を屋根の上に施工する事は確かに危険性が伴います。仮に破損しても絶対に安全である対策を考え、より快適な環境を追求していこうとする姿勢こそが技術の発展、これからのより豊かで快適な環境を目指す事に繋がると思うのです。危険=悪だとせず、危険性を100%取り除く安全対策+今後の検証(原因究明)が可能な対策が受け入れられるよう望んでいます。